北海道考古学会だより 60号


北海道考古学会だより 60号 目次 

事業報告  1998年度総会および研究大会略報
    事務報告  1997年度会務・決算報告、1998年度予算(案)
情報紹介 「シベチャリ川流域チャシ跡群およびアツペツチャシ跡」
    事務連絡  新入会員・住所変更会員などのお知らせ
北海道考古学会出版物頒布のお知らせ
           会員の皆様へ重要なお知らせ
    会誌    『北海道考古学』第34輯の正誤について
    研究会  北海道考古学会月例研究会発表者募集の案内
    案内   北海道考古学会主催遺跡見学会のお知らせ
          沙流川歴史館開館記念シンポジウムの案内
           『縄文の道フォーラム』(案)のお知らせ

1998年度総会及び研究大会略報
 4月28日(火)、江別市大麻の江別市民文化ホール(えぽあホール)にて、本年度の定期総会・研究大会が行われました。午前中に行われました総会の内容は別項にまとめてありますので、そちらをご参照下さい。なお、総会は、会員数392名に対し、委任状174通、出席者37名でしたので、会則の規程どおり成立しております。また、議長には小樽市の土屋周三会員が選出され、議事は滞り無く進行いたしました。     (秋山)
 4月28日13時より『北海道式古墳の系譜』-擦文文化の墓制をめぐって-と題して、公開シンポジウムが開催された。共催の江別市教育委員会齋藤清司氏、本学会委員長の挨拶の後、送付したプログラムに従って、研究大会に入った。江別市旧豊平川沿いに残る「江別古墳群」(後藤遺跡)が文化財保護審議会の答申で、国指定史跡に指定されることもあり、平日の開催にもかかわらず、会員をはじめ、江別市民、札幌学院大学学生、周辺市町村を中心に、道内外から220名を越える参加があった。
 基調講演は八木光則氏にスライドや図表を使用して、続縄文時代末~終末期古墳の墓壙形態や副葬品等について、東北北部との共通性や地域差を判り易く発表して頂いた。事例報告では田才雅彦氏がウサクマイ葬法について報告し、ウサクマイA遺跡調査時の貴重なスライドと最新の調査例を上げ、被葬者についての考えを述べた。鈴木信氏は最新の調査例であるユカンボシC15遺跡の周溝をもつが墳丘(マウンド)のない例を上げ、多くの参加者の注目を浴びた。上屋真一氏は周辺遺跡との関わりを検討しながら、茂漁古墳群の形態、副葬品について集成・比較し、曽根原武保氏のノートを含め詳細な報告を頂いた。野中一宏氏には江別古墳群の発見、位置・立地、調査経緯、古墳形態や副葬品についての発表を頂いた。いずれもスライドなどの豊富な資料による、熱のこもった発表であったため、しばしば予定時間を越える場面もみられた。討論では、パネラーやコメンテーターから被葬者や古墳を築いた集落など、広範囲にわたる問題が多数述べられ、参加者からの質問や意見も相次いだ。現存する遺跡や調査事例が少ないこともあり、結論には至らなかったが今後の調査や研究の進展が注目される興味深いシンポジウムであった。
 18時30分からは新札幌アークシティホテルで懇親会が開かれ、50名が参加した。講師を囲んで、シンポジウム会場にも増して熱気のある質問や意見などの研究交流が展開された。
 よく29日のエクスカーションは好天の中、9時に江別市民文化ホール(えぽあホール)に集合し、40名ほどが2台のマイクロバスに分乗して、北海道開拓記念館→江別セラミックアートセンター→江別古墳群→江別市郷土資料館の順に見学し、12時30分に江別市民文化ホールで解散した。北海道開拓記念館では休刊日にもかかわらず平川善祥会員のご厚意により開催中のテーマ展を見学させて頂いた。内容は1997年度に(財)北海道埋蔵文化財センターの調査した遺跡の速報展である(毎年実施されている)。平川会員から時代別に特徴ある遺構や遺物について大変理解しやすい説明を頂き、参加者から時間を過ぎても多くの質問が飛び交った。江別市セラミックアートセンターでは園部真幸会員に江別の焼き物や施設の特徴について解説を頂いた。江別古墳群では稲垣和幸会員からアオサギの営巣地となっていることを配慮し、史跡整備構想を検討しているなどの説明を受け、遺跡を熟知している委員長みずからの解説に耳を傾けた。途中、車窓から江別チャシをみながらの説明も頂いた。江別市郷土資料館では古墳群出土遺物、復元された古墳群のジオラマに参加者の質問が集中した。また、合わせて重要文化財の江別太遺跡出土の続縄文時代の木製品、元江別1遺跡土壙墓出土遺物をみることが出来、大変有意義な巡検となった。
 2日間、担当委員の不手際による時間超過などにもかかわらず、講演、発表頂いた諸先生をはじめ、会員の皆様や関係方面のご協力に深く感謝を申し上げます。特に江別市教育委員会には会場の手配やエクスカーション時の案内をはじめ、多くのご援助を頂き、心より厚くお礼を申し上げます。
 なお、公開シンポジウム発表要旨集(\1,000)に若干の残部がありますので、希望者はご連絡下さい。
                                       (田口・手塚)

1997年度会務報告
1 第35回総会・大会
期日:1997年4月26・27日    会場:伊達市 だて歴史の杜カルチャーセンタ-講堂
 総会:1996年度会務報告,1997年度会務計画/会則改正/委員改選
大会:テーマ『噴火湾の縄文人は何を食べてきたか-貝塚研究の現在-』
2 委員会
 第1回  4月25日/伊達市だて歴史の杜カルチャーセンター(会務報告・総会報告・研究大会)
 第2回  5月17日/江別市セラミックアートセンター(会務報告・会誌編集委員会の委嘱・第56号だより)
 第3回  6月7日/江別市セラミックアートセンター(会務報告・会誌編集委員会の委嘱・会費長期未納会員の取扱・会員名簿の作成・埋蔵文化財発掘調査促進方策研究協議会)
 第4回  7月5日/江別市セラミックアートセンター(会務報告・キウス4遺跡の保存・遺跡見学会・埋蔵文化財発掘調査促進方策研究協議会)
 第5回  8月9日/江別市セラミックアートセンター(会務報告・キウス4遺跡の保存・遺跡見学会)
 第6回  9月13日/江別市セラミックアートセンター(会務報告・遺跡報告会・会改革改善について・美々貝塚北遺跡について)
 第7回  10月4日/江別市セラミックアートセンター(会務報告・遺跡報告会・美々貝塚北遺跡について・遺跡保護保存委員会の設置について)
 第8回  11月8日/江別市セラミックアートセンター(会務報告・遺跡報告会・石川辰也氏基金について)
 第9回  12月12日/札幌市「風花」(会務報告・遺跡報告会・会誌29輯問題)
 第10回 2月7日/江別市セラミックアートセンター(会務報告・98年度総会研究大会・会誌29輯問題)
 第11回 3月7日/江別市セラミックアートセンター(会務報告・98年度総会研究大会・会誌29輯問題・藤森栄一賞・会誌34輯編集状況)
 第12回 4月4日/江別市セラミックアートセンター(会務報告・98年度総会研究大会)
3 会誌編集委員会
第1回編集委員会 6月21日/札幌市埋蔵文化財センター(委員長副委員長互選・刊行回数・投稿規定他)
 第2回編集委員会 7月26日/札幌市埋蔵文化財センター(投稿規定他)
第3回編集委員会 9月6日/札幌市埋蔵文化財センター(投稿規定・投稿募集・原稿依頼他)
 第4回編集委員会 1月9日/札幌市埋蔵文化財センター(第29輯問題・受領投稿)
 第5回編集委員会 2月13日/札幌市埋蔵文化財センター(受理原稿の採択・修正、第34輯内容決定)
4 研究会
 第1回 5月23日/かでる2・7 林 謙作「美々4式の再検討」
第2回 6月23日/かでる2・7 中沢祐一「被熱黒耀石生成の実験-黒耀石の白色部形成について-」
第3回 9月27日/北海道開拓記念館 福田正宏「亀ヶ岡式土器における入組文のゆくえ」
 第4回 11月29日/北大高等教育開発研究部 花岡正光「北海道におけるテフロクロノロジー(火山灰編年学)-遺跡とテフラ-」
5 遺跡見学会
 第1回 8月30日/千歳市・恵庭市(美々貝塚北遺跡・ユカンボシC15・E7・E10遺跡・カリンバ2遺跡他)参加者66名
6 遺跡調査報告会
 12月13日 10:00~17:00/かでる2・7研修室820号 参加者200名 報告件数14件
7 だより(B5版,各400部)
 第56号(6月27日発行)/8頁 1997年度総会・大会記事など
 第57号(7月31日発行)/6頁 キウス4遺跡保存問題、埋蔵文化財発掘調査促進方策研究協議会、遺                跡見学会案内
 第58号(11月15日発行)/12頁 遺跡調査報告会案内,会誌34輯原稿募集
第59号(4月10日発行)/4頁 第36回総会・研究大会案内、遺跡報告会報告、保護問題懇話会など
8 会誌
 第34輯 3月31日発行 B5版120頁 500部
   論文2 研究動向1 研究ノート3 資料・遺跡3 研究大会・研究例会記事、第29輯問題
1997年度決算報告・1998年度予算(案)(略)

 

- 情 報 紹 介 -
 今回の情報紹介にあたっては,静内町郷土館の藪中氏より、掲載の許可について心配りを頂きました。記して感謝いたします。また,だより編集部では年中無休でみなさまからの情報をお待ちしております。今後ともよろしくお願いいたします。                              (秋山)

  「シベチャリ川流域チャシ跡群およびアツペツチャシ跡」
 平成5年11月に指定答申・申請を出していたが。、12月2日付で国指定告示を受けた。

新入会員・住所変更会員のお知らせ(略)

北海道考古学会出版物頒布のお知らせ
 過去に発行された『北海道考古学』や『だより』、『研究大会レジメ』、『遺跡報告会資料集』などを、頒布いたします。ご希望の方は事務局までお問い合わせ下さい。

 1 『北海道考古学』は第13輯以降は残部があります(合本頒布も行っております。詳細は事務局まで。)
2 『だより』はご希望があれば郵送代のみで頒布いたします。
 3 『研究大会レジメ』、『遺跡報告会資料集』、残部僅少です。1冊500円から1,000円で頒布してます。

会員の皆様へ重要なお知らせ
 北海道考古学会の会費は、前納制となっております。今年度の会費をまだ納めていらっしゃらない会員の方は、会の円滑な運用のため出来るだけ早めにお納め下さい。
 また、会費は、昨年度より4,500円になっております。金額はくれぐれもお間違えのないよう、よろしくお願い致します。

『北海道考古学』第34輯の正誤について(略) 
 

 

 

 


1997年度月例研究会発表者募集の案内
 今年度も、月例研究会を行っていく予定を考えております。つきましては、これまでの研究に一区切りがついた、研究上の問題点を議論してみたい、新しく発見した資料・遺跡などを紹介したいなど、細かい内容などは問わず出来るだけ幅広く受け付けて参りますので、発表ご希望の方ございましたら、研究会担当委員もしくは事務局までお気軽にお声をおかけ下さい。 (田口・手塚)

北海道考古学会主催遺跡見学会のお知らせ
 毎年恒例の遺跡見学会ですが、今年は芦別・富良野方面を巡る計画で準備中です。詳細は現在調整中なので、次号「だより」か「はがき」にて近日中にお知らせいたします。なお、大まかな日程ですが8月下旬から9月上旬を予定しておりまして、例年どおり札幌駅発着で考えております。          (熊谷)

沙流川歴史館開館記念公開シンポジウムの開催のご案内
 この度、沙流川歴史館の開館に伴いまして、公開シンポジウムが開催されます。日程などを記しましたのでご参照下さい。シンポジウム当日は、全国的にも休日になっております。この機会に皆様ふるってご参加下さいまして、新築の歴史館と平取町の自然をご堪能いただければと思います。なお、本シンポジウムは北海道考古学会が後援しております。

 沙流川歴史館開館記念シンポジウム
  『沙流川流域の自然と歴史を考える』 -発掘調査資料を中心に-
  開催日時 平成10年7月26日(日) 午前10:00~午後4:00
  会  場 沙流川歴史館 レクチャーホール
問合せ先 〒055-0101
北海道沙流郡平取町字二風谷227番地2
        Tel 01457-2-4085  Fax 01457-2-4086  (森岡)
無料 (ただし資料配付は先着200名ほどとなっております)
  講演・研究報告内容
     「沙流川調査の思い出 -沙流川からタクラマカン砂漠まで-」
                        桜 井 清 彦(昭和女子大学) 
研究報告1 「チャシの時代と生活 -ユオイチャシ跡・ポロモイチャシ跡・二風谷遺跡の発掘調査から-」
                        高 橋 和 樹((財)北海道埋蔵文化財センター)
研究報告2 「ものは何を語るか -千歳周辺の近世の遺跡を中心として-」
                        大 谷 敏 三(千歳市埋蔵文化財センター)
研究報告3 「鉄をとおして、擦文文化期・アイヌ文化期の交易を考える」
                        赤 沼 英 男(岩手県立博物館)
研究報告4 「擦文文化からアイヌ文化へ雑穀農耕は継承されたか」
                        山 田 悟 郎(北海道開拓記念館)
※昼食は、受付時に弁当券を700円程度で斡旋します。
会場までの交通情報は、下記のとおりです。
   [自家用車でお越しの方]
札幌から約2時間、苫小牧から約1時間30分、日高町から約1時間
    なお、当日は、周辺で二風谷湖水祭りやボート大会等イベントが開催されているため、 駐車は係員の指示に従って下さい。
[公共交通機関ご利用の方]
   道南バス
札幌駅前発 9時10分 - 資料館前着 11時15分
    資料館前発 15時37分 - 札幌駅前着 17時50分
  
『縄文の道フォーラム』(案)のお知らせ
 現在準備中でありますが、遺跡の郷・縄文ロード推進実行委員会の主催で、縄文文化を中心とした内容のフォーラムが開催されます。発表者も多彩で、興味深い発表内容もあるかと予想されます。この機会に是非足をお運びください。なお、本フォーラムは北海道考古学会が後援しております。
  開催日時 平成10年9月12日(土) 午前10:00~午後4:00
  会  場 ホテル函館ロイヤル
500名
  出演予定者 刈谷俊介(俳優) 村越潔(青森大学) 毛利和雄(NHK解説員) 市川金丸(青森)
        田原良信(函館) 三浦孝一(八雲) 大島直行(伊達) 阿部千春(南茅部)他
講演内容 「考古学は未来学」(刈谷俊介)
「円筒土器文化圏の意味するもの」(村越潔) など

 
 
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